長田 たくや ブログ

議事録で振り返る4年間③ 2023年後半――「その数字、本当に成果を表していますか?」

2026/8/17

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
議事録から自分の4年間を振り返るシリーズ。
前回は、2023年前半の議会活動を振り返りました(リンク)。

そこで見えてきたのは、「事業をやったかではなく、やって何が変わったのか」という視点でした。

予算を使った。
事業を実施した。
何人が参加した。

それだけではなく、「で、その結果は?」を問うていました。
では、2023年後半はどうだったのか。議事録を改めて読み返してみると、さらに一段進んでいました。

「結果を示す数字そのものは、本当に正しいのか?」

分母は何人なのか。
絶対数だけを見ていないか。
前年比較の条件は同じか。
その結果は行政の努力か、それとも偶発的か。

そして最終的には、その目標値は、本当に目指すべき成果なのか?と問うています。


「577件」と言われても、多いのか少ないのか分からない
8月、第6次川西市総合計画案についての議員協議会。
就労支援の成果として「就職者577人」という数字が示されていました。

でも、577人だけを見ても評価できません。
相談した人が600人なら非常に高い成果ですし、1万人なら話は変わります。

そこで、「相談件数が分からなければ、この577件が多いのか少ないのか評価できないのではないか」という趣旨の指摘をしました。

ごみ排出量についても同じです。「1人1日822.2グラム」と書かれていても、それだけでは良いのか悪いのか分からない。
兵庫県平均や他自治体との比較があって初めて、その数字の意味が見えてきます。

この頃から私は、かなりしつこく、
「分母は?」
「比較対象は?」と聞くようになります。

8月末の市立総合医療センターの議論でも、糖尿病患者への指導が月4~5件と示されたことに対して、
対象となる患者が5人いて5人にできたのか、100人いるのに5人しかできなかったのか、対象の母数を確認しています。

数字は同じ「5件」でも、意味はまるで異なるのです。


「何人に実施したか」より、「その人がどうなったか」
10月の国民健康保険特別会計の決算審査では、この考えがかなりはっきり出ています。
特定保健指導について、何人に指導したかではなく、指導した人の翌年の検査値がどの程度改善したのかを質問しました。

そこで出てきた数字が、翌年度に対象から外れた割合「1.3%」でした。すると次に問いたくなるのは、「1.3%という結果で、今の指導方法を続けてよいのか?」です。

議会では、「目標を数字にしてしまうと、目的がわけわからんことになることがある」とも発言しています。
つまり保健指導の目的は「100人に指導すること」ではありません。

100人に指導した結果、
・生活習慣が変わったのか。
・検査値が改善したのか。
・服用薬が減ったのか。
・病院に行かなくて済むようになったのか。
・医療費はどうなったのか。

本来はこちらを見るべきなのです。


「知っている人が増えた」で健康政策は成功なのか
11月の「健幸まちづくり計画」では、この考えをさらに踏み込みました。
計画には、「オーラルフレイルという言葉と意味を知っている市民の割合」などが指標として置かれていました。

もちろん、知識を持ってもらうことは大切です。でも私は、
「知っただけで本当に健康っていえるんですか」と質問しています。

オーラルフレイルという言葉を100%の人が知っていても、歯周病になる人が増えていたら、健康政策として成功とは言いにくい。ですから、

認知度
→ 行動
→ 疾病
→ 服薬
→ 医療費

と、その先まで追っていく必要があります。
「知っている人を増やす」ことがゴールではありません。


「真のエンドポイント」を問う
その1週間後、11月28日の地域福祉計画案に対する協議会。
ここでは自分でもかなり明確な言葉を使っています。

「指標と本来求めたい真のエンドポイントをしっかり分けて考えないと」
例えば、「川西市は子育てしやすい」と感じる市民の割合が上がった。

それはあくまで一つの指標です。
でも、本当に知りたい結果は、
・子育て世代が川西市を選ぶようになったのか。
・実際に子どもの数や子育て世代の人口動態にどう表れたのか。

というところでしょう。
行政では「KPI(重要業績評価指標)」という言葉がよく使われます。

しかし、KPIを設定すること自体が目的になってはいけません。
指標が改善した先に、本当に市民の状態が良くなっているのか。

私はそこを見たいのです。


同じ数字でも「数え方」が変わったら比較できない
もう一つ、この頃かなり気にしていたのが数字の作られ方です。
10月の総合計画では、子どもの幸福度などに全国学力・学習状況調査の質問項目を使うことについて、「その設問は計画期間中ずっと残るのか」と確認しました。

途中で質問内容や対象が変われば、同じ指標名でも年度比較できなくなるからです。

12月の介護保険事業計画でも、「つながりノート利用者数」が前年から大幅に減っていました。
確認すると、実際に利用者が突然半減したわけではなく、途中で利用者数を精査し直していました。

それなら、違う定義で集計した数字を、そのまま時系列に並べると誤解を招くのではないか、と指摘しています。

数字を見るときには、
・その数字が何を数えたものなのか?
・去年と今年で同じ数え方なのか?

ここまで見なければなりません。


「数字が増えた=行政が頑張った」とは限らない
12月の介護保険事業計画では、低所得者に対する利用料軽減制度の「認定件数」が指標になっていました。
でも、低所得者そのものが増えれば、市が何もしなくても認定件数は増える可能性があるためです。

そこで、対象者全体が何人いて、そのうち何%を制度につなげられたのかを見る方が、行政の努力を評価できるのではないか、と質問しました。

同じことは、ジェネリック医薬品の使用率でも質問しています。
使用率が上がったとしても、それが市からの通知によるものなのか、新薬の特許切れなど別の要因なのか。
数字が動いたからといって、すぐに「この事業のおかげ」と考えない。

これは今でも大切にしている考え方です。


最終的には「いくら使って、何人が改善したか」
12月13日の介護保険事業計画では、かなり理想に近い形を議会で話していました。
川西市は、将来推計では要介護認定率24.1%となるところを23.9%に抑える目標を置いていました。

人数にすると、およそ100人です。市も、その程度の認定者数を減らすことが目標だと答弁しています。

そこで私は、介護予防事業の「延べ参加人数」を数えるだけではなく、実際に何人が参加し、その結果何人が要介護認定にならずに済んだのかを分析できないか

と提案しました。さらに、

市税をいくら投入した
→ 何人の介護認定を防げた
→ 結果として介護保険料の負担をどれだけ抑えられた

ここまで道筋をつなげられたら非常に良い、と発言しています。
今読み返しても、これは私が行政事業を見るときの考え方をかなり端的に表していると思います。


何でも効率化すればいいわけではない
一方で、2023年9月の「行政経営基本方針」の議論では、こんな意見も述べています。

森林や自然、伝統的なものなど、経営効率だけで考えれば非効率であっても、行政として守らなければならないものがある。大切なのは、「何を効率化し、何を守るのかを見極めることではないか?」という考えです。

私は数字や費用対効果をかなり気にします。ただ、数字だけで全てを決めればよいとは思っていません。

・人の安心
・地域の文化
・自然環境
・将来世代に残すもの

数字に置き換えにくくても、守る価値のあるものはあります。


その人が制度までたどり着けるか
もう一つ、2023年後半に目立ったのが、制度の入口への問題意識でした。
障がい者支援では、アンケートで「どこに相談したらよいかわからない」という声が多かったことから、支援制度をたくさん作っても、そこにたどり着けなければ意味がありません。

そこで、「障害者コンシェルジュ」のような分かりやすい一本化された入口を提案しています。12月の国保では、産前産後の保険税免除について、広報誌やポスターだけでなく、出産届などで必ず行政と対面する機会に「申請しましたか」と確認すれば申請漏れを減らせるのではないか、と提案しました。

これも同じです。
「周知しました」が行政のゴールではありません。必要な人が、実際にどれだけ制度を利用できたかが重要です。


最後は、数字ではなく「人」の話に戻る
12月22日、市立川西病院跡地に整備する福祉複合施設の議論。
高齢者施設と障がい者支援を一体で担える事業者が本当に集まるのかを確認した後、最後に私が要望していたのは、数字でもKPIでもありませんでした。

隣接する公園を、施設利用者が外へ出て太陽の光を浴びたり、花見をしたりできる場所にしてほしい。そして可能なら、動物や野鳥など、生き物と触れ合える要素があっても面白いのではないか。という提案でした。

これは単なる鳥好きの発言かもしれません(笑)。
でも、改めて読み返すと、2023年後半を象徴している気もします。

・数字を調べる
・費用対効果を見る
・成果を追う

そのうえで最後に考えたいのは、それで、人の暮らしは少し良くなったのかということです。


2023年後半を振り返って
2023年前半は、「事業をやったかではなく、やって何が変わったのか」を問う半年でした。

そして後半は、さらに、「その”変わった”を示している数字は、本当に意味での成果を表しているのか」を問うようになりました。

☑データの分母は何人なのか
☑絶対数と割合のどちらを見るべきか
☑前年と比較できる数字なのか
☑数え方は途中で変わっていないか
☑別の要因で数字が動いていないか
☑KPIと、本当に求める結果は一致しているのか

議事録を読み返していると、政策分野は医療、福祉、教育、ごみ、環境とバラバラなのに、質問するときの考え方はほとんど同じです。
行政が示した数字を、そのまま成果とは考えない。

「その数字、ホンマか?」

と一度立ち止まって考える。そしてその数字の向こう側にいる市民を見る。
これが、議員2年目の2023年に少しずつ形になってきた、自分なりの議員活動のスタイルだったのだと思います。

次回は、2024年前半を議事録から振り返ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な一日でありますように。
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著者

長田 たくや

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選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
選挙区

川西市議会議員選挙

肩書 市議会議員・薬剤師
党派・会派 無所属

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