長田 たくや ブログ

議事録で振り返る4年間② 2023年前半――「やった」ではなく「何が変わったか」を問う

2026/8/14

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師)#長田たくや です。
議事録から自分の4年間を振り返るシリーズ。
前回は、初当選した2022年の議会活動を振り返りました(リンク)。
そして今回は2023年前半、1月から6月までです。

まだ議員になったばかりで、市役所の仕組みも議会の進め方も分からない中、

「その数字はどういう意味なのか」
「他の自治体ではどうなのか」
「市民にはどう見えるのか」

と、一つずつ確認していました。

2022年は当選した10月末からの約2か月でしたので、2023年からが実質的には初めて丸々議会活動を行った年になります。
3月には、初めて一般会計予算審査特別委員会にも入りました。

今回、改めて議事録を読み返してみて、自分でも「ああ、この頃から今と同じことを言っていたんだな」と思ったことがあります。
それが、
「事業をやったか」ではなく、「やって何が変わったのか」を見る。
という考え方です。


途中で結果を確認しなくていいのか
3月定例会の一般質問。
環境政策について、川西市が掲げる「2050年ゼロカーボン」という長期目標について質問しています。

2050年と言われても、あまりにも先の話です。そこで私は、短期評価と結果を定期的に行う予定はあるか、と質問しています。

何をもって達成とするのか。
市民にどんな負担があるのか。
そのために投入する費用に対して、どんな効果があるのか。

長期目標を掲げるだけではなく、途中途中で結果を検証する必要があるのではないか、という考えでした。


「環境に良い車を買う」で終わらない
その直後の予算審査でも同じです。
公用車としてEVなどを購入する予算について、「普通の車を買う場合と、いくら違うのか」と質問しました。

答弁は、おおよそ150万円の価格差。
さらに、
・通常の公用車は何年使っているのか。
・EVのバッテリーや耐用年数を考えたらどうなのか。
・購入ではなくリースという方法はないのか。

と続けています。
「EVだから環境に良い」で終わるのではなく、

導入費
→ 使用期間
→ 更新費
→ ランニングコスト
→ その結果得られる効果

まで見たいということです。
建物のZEB化(省エネ化)についても同様でした。

「省エネ改修します」だけではなく、「具体的にどれだけエネルギーを削減するのか」と質問。
市からはエネルギー使用量を半分にすることを目指すとの答弁があり、さらに、その削減が冷暖房を我慢させることによって達成されるのではないことまで確認しています。

環境政策に限らず、私はどうも、「良さそうな言葉」より、その中身が気になる性格のようです。


99.1%でも、残り0.9%は大きなお金
同じ3月7日の予算審査。
市税の収納率が 99.1% と示されていました。

99.1%と聞くと、ものすごく高い数字です。
しかし、「残り0.9%でも、金額にすると8,000万円ほどになるのではないか」と質問しています。

割合だけを見ると小さくても、実数に直すと見え方や考え方が変わりませんか?
これも後になって、
絶対数と割合の両方を見る
という自分の質問パターンにつながっていきます。


「マニュアルを作った」で終わってはいけない
市役所の業務改善についても質問していました。
業務を見える化し、マニュアルを整備するという説明に対して、私自身、製薬会社や病院、薬局で働いてきた経験から、「マニュアルは作っただけでは意味がない。実際に使ってみて、使えるものになっているのか確認した方がよい」と提案しています。

マニュアルを作成した=成果

ではありません。

☑実際に使えるのか
☑業務時間が減ったのか
☑職員が働きやすくなったのか

そこが本当の成果です。
難しいですけどね。


人権啓発。「アンケートをしました」で成果なのか?
3月の一般会計予算審査。
人権推進事業について、私はこんな趣旨の質問をしています。

調査やアンケートの結果は出てくるけれど、何か施策を行ったことに対して、結果がどうなったのかというデータを見たことがない。
アクションと結果を結びつけた評価項目を持たないのか。

というものです。

例えば、
「人権は大切だと思いますか?」とアンケートで尋ねれば、多くの人は「大切だ」と答えるでしょう。

もちろん、それ自体が無意味だという話ではありません。ただ、人権施策の目的を考えるのであれば、実際にいじめや差別などで苦しむ人が減ったのか。
そうした「実害」がどう変化したのかを見る視点も必要ではないか、と質問しています。

一方で、「いじめ件数を減らす」という目標を置くと、今度は数字を悪くしたくないために、いじめを認定しないという逆のインセンティブが生まれる可能性もあります。だからKPI(重要業績評価指標)は、つくればよいというものでもありません。

それでも、
「事業を実施しました」
「アンケートをしました」
だけではなく、

「その結果、市民にどんな変化があったのか」

をできるだけ確認していくべきだと考えました。
そして、結果をきちんと示すことができれば、税金を使って事業を行うことへの市民の納得感にもつながるのではないか、と意見しています。


がん検診無料化。無料にして、何人増える?
同じ予算審査では、がん検診の自己負担無料化についても質問しました。
無料化自体を成果とは考えず、「自己負担をなくすことで、実際にどのくらい受診する人が増えると見込んでいるのか」を確認しています。

さらに先を考えると、

無料化した

受診者が増えた

早期発見につながった

最終的にがんによる死亡が減った

となれば、この事業には大きな意味があったと言えます。
そこで私は、すぐに結果が出るものではないけれど、

長期的には、実際の健康上の結果まで追えるようにしてほしいと求めています。

今読み返してみると、
「無料化しました」ではなく「無料化して何が変わった?」

と問うています。まさに今の私の考え方と同じです。


新しい事業をつくる前に、今あるものを使えないか
生活習慣病の重症化予防事業についても質問しています。
市の職員がハイリスクの方を探し、アプローチする事業でした。

そこで薬剤師として、既にある「健康サポート薬局」を活用できないかと提案しました。

薬局は地域に多数あり、比較的入りやすい医療施設です。市が全てを自前で抱えるのではなく、既に地域にある人材や施設を利用すれば、マンパワーや新たな費用を抑えながら事業を進められるのではないか。

という考えです。

これは別の場面でも出てきます。
高齢者の運転免許返納制度を周知する際には、病院、薬局、訪問看護、訪問介護など、もともと高齢者と接点のある人たちを通じて周知すれば、コストをあまりかけず情報を届けられるのではないかと提案しています。

この提案を元に、実際に薬局に免許返納ポスターが掲載されました。
新しい政策を考えるとき、「まず新しいものをつくる」ではなく、「今あるものを使えないか」という視点も大切です。


病院では「医療現場を知っている議員」として
3月3日の市立病院改革調査特別委員会では、少し違う角度の質問もしています。
総合医療センターから地域の開業医へ患者を戻した後、一定期間後に医療センターでもう一度確認する仕組みはあるのかと質問。

薬局勤務時代に、専門病院から地域へ戻った後、長期間フォローされていない患者を見た経験が背景にありました。
ほかにも、

  • 入院患者が使えるフリーWi-Fiはあるのか
  • レセプト返戻をどう評価すればよいのか
  • 治験を行っているのか
  • 後発医薬品に関する診療報酬上の評価はどうなっているのか

などを質問しています。 

薬剤師として働いた経験を、市政のチェックにどう使うか。
その形もこの頃から少しずつ出てきたように思います。


規制を緩和するなら、「なぜ元々規制されていたか」
3月6日の建設常任委員会では、容積率の緩和について質問しています。
規制緩和自体に反対したわけではありません。

ただ、そもそもその規制は、何らかの安全上の理由があって存在していたのではないか。緩和したことで避難などに問題は生じないのか。を確認しています。

これは今読み返すと結構自分らしいです。

何かを緩和する。
何かを新しく始める。

そのときに、「そもそも、なぜ今までこうだったのか?」を一度確認する。
制度の前提を知ったうえで変えることが大事だと思っています。


中学校給食では、この頃すでに牛乳について質問
3月定例会では中学校給食についても、
「牛乳を選択制にすることはできないのか」と質問していました。

市からは当時、栄養やカロリー面から牛乳は重要であり、代替食材がないとの答弁でした。
この時点では実現しませんでしたが、このテーマはその後も取り組み、現在は学校給食の牛乳を停止できる基準の緩和につながっています。

議事録を時系列で読み返すと、後の成果が突然出てきたのではなく、こういうところから始まっていたことが分かります。


ごみ分別も「手間」と「得られるもの」を比べる
ごみ行政でも同じです。
川西市ではビンを色別(無・茶・その他)に分けさせています。

私は川西市へ引っ越してきたとき、この分別に驚きました。
そこで、
「なぜ分けるのか。」
「分けて売却することで、実際いくらになるのか。」

を問うています。
もちろん、資源を分ければ売却できるというメリットがあります。しかし一方で、市民にとっては、手間でしかありません。その手間に見合うメリットがあるのかについてはシビアに考える必要があります。

つまり、分別によって得られるものと、そのためにかかる費用や手間は釣り合っているのか。
そこまで考えて、今のルールを続けるのか判断する必要があります。

この頃から、ごみの分別についてかなり気になっていたようです。


「予算を通した」で終わらない
予算審査最終日の賛成意見で、私はこんなことを言っていました。

「これから1年をかけて、どのように使われ、どのような効果があるかを一つ一つしっかり見ていきたい」

というものです。

予算審査というと、
「この事業に1億円」
「この事業に5,000万円」
という入口の数字に目が行きます。

でも、本当に大切なのはその後です。
その1億円を使って何が変わったのか。

予算案を審査して終わりではなく、その後の決算まで追わなければ意味がありません。

今読み返しても、この考えは変わっていません。


さらに「その指標、本当に成果を表していますか?」
6月の一般質問になると、もう一段違う問い方もしています。

ジェンダーギャップ指数についてです。

日本の順位が低いことを理由に、その改善を目指すという考え方に対し、ジェンダーギャップ指数が改善されたら、本当に女性の幸福度が上がるのかと質問しました。

これはジェンダー政策だけの話ではありません。
行政では、いろいろな「指標」が設定されます。

しかし、KPIの数字を上げること自体が目的になってしまってはいけない。
例えば「女性管理職比率」という数字を上げたとしても、それによって当事者が生きづらくなれば本末転倒です。

大切なのは、
「その数字がよくなれば、本当に市民の暮らしもよくなるのか?」

ということです。KPIは必要です。
でも、KPIそのものも疑ってみる必要がある。

この視点も、今の私の政策評価の考え方につながっています。


医療では「制度があります」ではなく「何件動いた?」
薬剤師ということもあり、医療についても多く質問しています。
新型コロナワクチンの予防接種健康被害救済制度について、市内の状況を質問しました。

すると当時、

申請17件
国へ進達15件
国から回答4件

という答弁がありました。さらに、「長い方では申請から約1年半待っている」ということも確認しました。

つまり、「救済制度があります」だけでは、その制度が機能しているかどうかは分かりません。

何件申請されたのか。
何件処理されたのか。
何件残っているのか。
どれくらい待っているのか。

そこまで見て初めて、制度の実態が分かります。また、この問題については国に対して、
「正確なデータの公開と、健康被害に対する早急な調査・救済を求める意見書」を自ら提出しました。
残念ながら、本意見書は最終的には議会で否決されてました。

当時の新型コロナやワクチンに関する個々の医学的主張については、現在発信するのであれば、現在の知見やデータでもう一度検証する必要があります。当時の私が議員として、一人の医療従事者として、

「判断に必要な数字を公開してほしい」
「制度をつくっただけでなく、実際に救済されているのか確認したい」

と問うていたのです。


川西市の38%は森林
環境については、川西市の森林についても取り上げました。
市の答弁では、川西市の森林面積は2,054ヘクタール、市域の約38%。

一方、市内には林業を生業とする事業者がおらず、十分に管理が行き届いていないという課題も示されました。
そこで、森林環境譲与税の使い方や災害リスク、人工林の管理などについて質問し、

最終的には、森林整備そのものが仕事として成り立つ仕組みを考えられないかというところまで意見しています。

環境政策は「環境にいいことをしましょう」で終わってはいけません。
・誰が管理するのか。
・誰が働くのか。
・その仕事で生活できるのか。
・50年後、100年後まで維持できるのか。

そこまで考えなければ、持続可能とは言えないと思っています。


2023年前半、私は何を問うていたのか
半年分の議事録を読み返してみると、テーマはかなりバラバラです。

・人権
・がん検診
・生活習慣病
・ごみ分別
・新型コロナ
・ジェンダー
・森林

でも、質問の仕方には共通点がありました。
「実施した」ではなく、その結果は?
「制度がある」ではなく、実際に何件機能した?
「無料にした」ではなく、利用者は増えた?
「指標が改善した」ではなく、それで本当に市民は幸せになった?
「新しい事業をつくる」前に、既存の仕組みを使えない?

そして、

「予算を使った結果、何が変わったのか?」です。

議事録を読むまで、自分でもここまで最初の頃から同じようなことを言っていたとは覚えていませんでした。
最近は「KPI」「アウトカム」「費用対効果」といった言葉を使うことが増えました。

しかし、その原型は議員1年目の2023年前半には既にあったようです。
行政には、本当に幅広い仕事があります。

だからこそ私は、行政が示した数字をそのまま「成果」とは考えず、

その数字は何を意味しているのか。
そのお金を使って何が変わったのか。
本来の目的に近づいているのか。

これからも、そこを問い続けたいと思います。
次回は2023年後半を議事録から振り返ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な一日でありますように。
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著者

長田 たくや

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選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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川西市議会議員選挙

肩書 市議会議員・薬剤師
党派・会派 無所属

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